
覚えていない方が前進できる
脳は、都合の悪いこと、ささいなことは忘れる仕様になっています。保存データがぱんぱんになると、生き残るために不要な情報に紛れて、生存のためのデータが取り出しづらくなるからです。また生存を脅かすほどのトラウマにも、忘却作用が働きます。
けれどご存知の通り、憤りや拒絶、後悔などと結びついた出来事は忘れることなくずっと覚えています。「覚えていない方が前進できる」という、この本来の脳プログラムを超えていくのが「覚えていた方がメリットがある」データ、つまり生き残りに有利だと判断したデータ、そう、ビリーフです。
ということは、ある体験をして湧き上がった感情を「お、この感情使えば前進できるじゃん!解決するじゃん!」生き残りに有効やわ〜と思わなければ、憤りや悲しみや理不尽さへの疑問などは忘れていく、と言えます。
人は前進するためにネガティヴな感情エネルギーを使うやり方を覚えたら、繰り返し繰り返しそのやり方を使います。でも、本来人間は忘れる選択肢を与えられた生き物。過剰に感情を持ち続けることなく忘れることが出来る人は、「許す」であるとか「他者のパラダイムで他者なりの事情を考える」とか、「自分を愛する」とか「寛容さ」の美徳を細胞の中に持っている人なんだろうなと思います。ここで、私と弟が同じ体験をしたのに、私はごめんね、と思っていて、弟はネガティブなエピソード自体忘れていて、その体験のポジティブな側面しか覚えていなかった、という例を。
エピソードの捉え方
私が小学2年生の春で、弟が3歳になる数ヶ月前の2歳の時、こども2人だけでバスと電車を乗り継ぎ、自宅から1時間半の位置にあるコアラがおるがね、の動物園兼遊園地に行きました。
何故そんな無謀なことをしたかというと、私が通っていた私立小学校が動物園のある駅よりさらに先の駅にあり、登校するふりをしてちょくちょく途中下車して動物園に行っていたからです。学校で、何で席に座ってみんな一緒に退屈な授業を受けねばならないのか理解出来なかった幼い私にとって、動物園はパラダイス。ここに、可愛い可愛い弟を連れて行きたい!って思ったわけです。自分は余裕で弟楽しませられる!って自信満々でした。
この記憶を、先日弟と出掛けた際に話して「2歳児を遠くまで連れ回してごめんね。不安だったよね、親と離れて姉ちゃんに連れて行かれて。しかも途中で小銭が足りなくなって、お前が抱えて持って行った貯金箱を出せと言って、そこから支払いしたよね。マジでごめん。2歳だったから覚えてないかな?」と言いました。
弟は「めちゃくちゃ覚えてるよ。バスや電車に初めて乗ったから、窓から見た、景色が流れて行く風景も覚えてる。俺としては、姉ちゃんは保護者だと思っていて、絶対的な安心感しかなかったよ。でも…貯金箱ってなに?それは全然覚えてない。そんなことあったんだ!」という反応。
出発前に弟は大事にしている郵便局でもらったプラスチックの熊?の形の貯金箱を持って行こうとして、置いて行けって言ったのに、持って行くと言い張って、失くしても知らんよって念を押して持って行かせたんですね。しかもカバンに入れるのでもなく、小さな両手で抱えて持って行くというね。
そんな大事な貯金箱を開けさせて、中のお金を使ったのに覚えていないなんて…。私はずっと、弟を無理矢理納得させてお金使わせた反省エピソードだったのに。
何を残すか
そういえば弟は、子供の頃から許しと感謝と優しさを知っていたのかも。私は主張する性格なのに、弟は優しいからいつも選べるプレゼントも最後で良いってこだわってなかった。道で死んでた猫の死体を見て私は「わぁ、親猫が探してるかな。野良の世界は厳しいね」と思ったくらいなのに、3歳児の弟は血を流した猫を抱えて母のところに持って行き、「猫ちゃんまだ生きてるかもしれないから、生き返らせて」と泣いていた。上の弟がこれまた凶悪で、よくいじめられてたけど、許してたし、引きずらずにすぐに一緒に遊べる子だった。私は徹底的に上の弟の理不尽行動に反論し、親の前でハッキリさせていた。全く許しのエネルギーを持ち合わせていなかった。私との動物園エピソードも、弟は私に感謝しかしてない。…持っている徳で、同じエピソードで使う感情が違う。
どのデータを残して、何を忘れるか。それが適切に出来たら、人生は楽になる。だから、シータヒーリングを学んだ人は「いつ何を選択して脳や潜在意識に残したら良いか、何を選択したら楽々簡単で、愛のエネルギーの中にいられるか分かる」みたいなダウンロードっていいかもね。加えて、「過度に恐れることなく(サバイバルの自己の過剰反応なく)バランスの中で生きられる」とか「その為に必要な美徳を創造主に聴いてダウンロード」する。そして、私と弟のように遺伝子を共有する場合は、先祖にその美徳を持っていた人がいるから、「創造主、私にもその美徳、定義観点一致させて、ちょうだい!」と、呼び覚ますのも良いと思います。